その目には、涙が潤んでる。

式もまだ始まってないのに…相当悲しいんだろうなぁ…。

あたしには…その気持ちがわからない。

大切な人を亡くす悲しさで、他のことなんて、悲しくも楽しくもあまり感じられなくなっていた。


時間が経つにつれて、次々と人はやって来る。

その度に、夏南ちゃんの目には涙が浮かぶ。

式にはもう号泣しそうな勢いだ。

「葵!やっと終わったよっ。超疲れた~」

美海があたしの前の席に座った。

「卒業式、楽しみだね!」