「葵、帰ろ」
陽が片手をあたしに向けて言った。

こんなひとつひとつのことに、あたしは毎回ドキドキする。

小さい頃だって、普通に手繋いで歩いてたのに。
『彼氏彼女』の関係になっただけで、一瞬にして変わってしまうんだ。

「……………」

会話がない帰り道でも、ただ側にいられるだけで…いてくれるだけで、あたしは本当に幸せだって感じる。

「俺、生きるから。葵と一緒の高校行くから」

「指切りしよう」

約束は絶対に、何があっても破らない。
あたしたちはそう決めていた。