「朱美ー!!言ったらてめーぶっ飛ばす!!」

「ふはは、やってみろ」

佐緒里さんのそんな言葉も、朱美さんは軽く笑うだけだった。

それから、私を見ると朱美さんはにっこりと笑う。


「佐緒里な、菜々美のこと最初から花蓮に必要な人材だって言ってたんだぜ」

「え?」

「あの喧嘩も、菜々美を引き留めるためにわざとやったってわけ」

「……」


花蓮に入る気なんかなかった私に、佐緒里さんは喧嘩を売った。
それを私は買った、それで負けて花蓮に入った。

全て…佐緒里さんが仕組んだこと?


「…どんだけ、凄いんですか。佐緒里さんは」

ぽつりと、そう呟くと朱美さんは口角だけ上げて

「佐緒里、ああ見えて実は頭切れるんだよ」

そうやって佐緒里さんを親指で指した。


「菜々美は強くなるって、そうはっきりと佐緒里は私らに言ったよ」

「………もう」


佐緒里さんには敵わない。
私の、完璧負けだ。