誰もがその光景に唖然としていた。
かくいう俺も。

口をぽけーっと開けてると、麻美の態度に頭に来た教師が麻美のとこまでやってくる。
それから、髪の毛を思い切り掴んで引っ張った。
同時に女子から悲鳴が上がる。


「井上、明日までに直してこい」

「………」


麻美は綾瀬を睨みつけるだけだった。
その眼光に少したじろいだ綾瀬はふん、と鼻をならしながら授業を再開した。

だけど、教室のざわつきは収まらない。
それに一言、綾瀬が怒鳴ってまた何事もなかったかのような静寂が訪れた。


授業が終わると俺は麻美の元へ急いだ。


「麻美、おせえな」

「……ああ、ねぼー」

「髪の毛どーした」

「…染めた」

「ちょー似合うな、麻美金髪」

「………」


ぴくりともにこりとも笑うことがない麻美。
普段と様子が違うことはわかっていたけど、それを突っ込んでいいのか、俺にはわからなかった。