そこにはもう既に信司がいて、他にも野郎がたくさん群がっていた。


「おお、信司!この子、麻美」

「あ、その子が噂の」

「…噂ってなんだよ」

「え?」

「きれーな群れない女がいるって拓斗がね」

「うわ、信司言うんじゃねえ!」

「ふは、慌ててやんの」

「あー拓斗、それ誰?めっちゃ可愛いー」


会話に急に割り込んできた男に俺は麻美を紹介する。


「晁(のぼる)、こいつ同じクラスの麻美」

「何、拓斗の彼女?」

晁がにやつきながら言うのを

「違うから」

きっぱりと否定したのは麻美だった。


「ちょ、否定するのはええよ、麻美」

「あはははは」

信司と晁が笑う声が木霊する。
普通に誰かと話をしてる麻美を見て、嬉しいと思った。
だけど、その気持ちと一緒に他の誰かと話をすることにモヤモヤを感じていた。