最期の麻美の顔は。
穏やかだった。




今まで見た事もないぐらいに綺麗だった。






麻美。
麻美。


麻美…。






好きだよ。







哲は心の中で。
何度も何度も。



そう、何度も呪文のように唱えた。




そして、目を開けて俺の名前を呼んでくれたらって。

何度も何度も思った。





叶うことない願いを、哲はこれから暫く胸に留めることになるだろう。




それでも歩きださなきゃならない。





麻美が託した未来に向かって。