「…て、つ、どう、して」




途切れ途切れに言うあたし。
すぐに返事をしない哲は、一度息を大きく吸い込むとあたしの肩を持った。





真っ直ぐにあたしを見つめる。
哲の、真剣な顔。




「何があった」


「え?」


「何があったんだよ」


「…何もない」


「何で嘘つくんだよ」


「ついてねーよ」




哲はくっと、奥歯を噛みしめて一瞬顔を歪める。





「どこにも…行くなよ」


「………」





行きたくねえよ。
あたしだって。






「俺の側にいろよ」






頷くことが出来ない。
その悔しさで今度はあたしの顔が歪む。