俯く俺になつきから声がかかる。



「おーい、てーつー」


「……」


「哲、てつっ!」


「うっせえな!」


「腹減ったからどっか行こうぜ」


「……なつき、のばかやろー!」


「失恋した時は飯食うに限る!
うまいもん食う!
そんで幸せになるんだよ!」


「なんだよ、それ。
俺食欲ねーし」


「いーからこい!」


「……」



観念した俺は立ち上がって車に戻る。
乱暴に助手席を開けて、中に入る。
ぶすっとする俺になつきは飄々と声をかけてくる。



「さって、どこ行くか」


「………」


「哲~」


「……………」


「あんなー女なんて他にもいんだろ~」


「わーってる!だけど、麻美ちゃん以外無理!」


「じゃー聞くけどどこが好きなの?」


「どこって、…顔」


「外見かよ!」


「外見から入っただけだよ!
麻美ちゃんの純粋過ぎるとことか!
強いとことか、芯あるとことか!
大好きなんだって!」


「で?」


「でって、それだけ好きなんだよ!」


「でも、諦めるんだろ?」


「!!!」