「哲ちゃん?どーしたの?」


ぼーっとしてる俺の目の前で、手の平をヒラヒラさせながら拓が言った。




「………拓」


「…ええ?」


「………………………俺、しばらく立ち直れないかも」


「はあああ?」





落ち込む俺の話を拓は黙って聞いてくれた。
拓、まじでいいヤツだよな…。
俺、拓好きになりそうだよ。



「で。お前は会わないわけ?」


「え?」


「そんなんで引き下がるの?」


「……拓」


「あ?」


「そうだよな。俺、そうだよな!」


「何だよ、それ」


「俺、今から麻美ちゃん探すよ!」


「はあ?」


「花蓮の集まるとこ行けば会えるんだろ?」


「…まあ、そうじゃねーの?」


「………拓斗様、教えて下さい」


「………勘弁して。俺が麻美に切れられる」


「お願いっ!拓のことは言わない!」



「バレんだろーが!今俺の携帯からかけてたのに!」


「拓…俺が廃人になってもいーのかーー」


「…関係ないし」


「あああ???」


そっぽ向く拓の胸倉を掴んでそう言うと

「…………ハイ」

諦めたように拓が返事をした。



拓はやれやれといった感じで肩をすくめると、運転代われと偉そうに言ってきた。
少しムカついたけど、今は麻美ちゃん優先だから我慢してやる。





畜生。