気づくと皆川さんの新入生挨拶も終わっていた。そして、一気に舞台が華やかになる。

「さーって次はお待ちかね!starryの新入生歓迎ライブだ!!」

体育館は一気に黄色い声援に囲まれる。

starry。それはこの凰華学園のOBでもあり今をときめく二人組のアイドルユニットなのである。

容姿だけではなく、歌声も素晴らしいと名高い。もちろん自分の憧れのアイドルでもあった。

舞台は桜の紙吹雪が舞いボルテージが一気に最高潮にまで上がっていく。そんな空気を作り出す二人に自分は更なる尊敬を抱いた。

ふと横を見てみると驚いた。彼が、皆川さんが切なげに、いとおしそうにその舞台を見ていた。

まるで無理矢理でもその舞台を諦めようとしているかのように。

彼は、もしかして…。

妙な確信が鈴蘭の胸を渦巻いた。

けども皆川さんは特進司法コースのはず。なぜこの光景を切なげに見る必要がある。

この学園は夢を追い求める為に本気で頑張ろうとした者だけが受かる学園。

夢を叶えられるビックチャンスを得られて誰もが喜びと覚悟を噛み締めているはずなのに。

そこで切なげに舞台を眺める彼は喜びにも覚悟にも満ちていない表情をしていた。