俺らはすぐ、教室に向かった。
中から聞こえる和音の声。
遅かった……。
そう思った。
その時。
ダン!!
亀が扉を勢いよく開いた。
そこから自分が何をやったか覚えていない。
だけど、いま俺は和音と保健室にいる。
和音は、ビショビショでそのまま帰れる状況じゃなかった。
シャ…
体操服に着替えるように言い、カーテンをしめる。
その瞬間。
「うっ……うぅ…」
和音の泣き声が、保健室に響いた。
俺は我慢出来なくて、保健室から出る事にした。
「和音ー、俺、教室みてくるわ」


ガラッ…
教室の、ドアを開ける。
そこには、リーダーらしき女の子の胸倉を掴んでいる和がいた。
「お前!あいつが!何をした!」
こんな和、始めて見た。
俺も、雅樹も亀もただみているしかできなかった。
「ウザイからに決まってんじゃん!」
「ウザイからって、していい事としちゃいけない事もわかんないわけ?」
和が声を荒げて言う。
「和!それぐらいに……」
場をみて口を挟む。
「すいません。やりすぎましたね。」
和は我に帰った様に手を外し、乱れた服を直した。
「でも。次あいつになんかあったら許さねぇ…」
聞いた事もない、低い声。
「いこ!」
そういい、また保健室に戻る事にした。


保健室の前で立ち止まる。
中から聞こえる声をただただ聞いていた。
「俺…先生に早退するって伝えてくる。」
っと走るよに逃げていく雅樹を見つめる。

やっと決心してドアを開ける。
ガラッ…
「大丈夫か?」
恐る恐る亀が聞く。
「うん!大丈夫!」
いつもの様に笑顔で言う和音…。
その時。
「大丈夫…」
自分じゃないみたいに、低い声で言う。
「大丈夫な訳ねえだろ!!俺らは兄妹何じゃないの?辛かったら辛いって言えよ!家の中で気、使かうなよ!」
大きな声を張り上げてしまった。
「だって…だって言えるわけないじゃん!……私は、キラキラしている皆でいて欲しい。テレビで写ってる皆を見ると、元気がでる。…多分それは私だけじゃない…だから、心配かけたくなかったの…」
段々声が細くなっていく。