「和樹、おはよ」

「おお、康太。今日、バレンタインデーだな」

「そうだな」

俺は、テンションが低かった。

愛歌からチョコ貰ってないから。

「何個貰えるか競争しようぜ」

和樹は、張り切ってた。

「何でそんな事するんだよ?」

「あれ? いつものお前ならするって言うのに。今日は、どうしたんだよ?」

「別に……」

「じゃあ、藍沢から貰ったの?」

「貰ってない」

「なるほどそれでねぇ」

和樹は、俺の事をよく分かってる。

和樹とは、中学生の頃から親友で俺の理解者でもある。

放課後―

「康太、何個貰った? 俺、3つ」

「俺は、17個」

「やっぱり康太は、すげぇな」

「別に」

「あの小野君、ちょっといい?」

「いいけど……」

同じクラスの川島が言った。

「これ食べてください。私、小野君の事が好きだから。私と付き合って下さい」

川島は、顔を真っ赤にして俺にチョコを渡して来た。

正直言って俺は、愛歌の事が好きだ。

でも、愛歌は俺の事を幼なじみしか思ってない。

多分この先、ずっと……

俺は、愛歌に告白さえ出来なかった。

振られたら気まずいからって言う理由で……

だから川島がすごいと思った。

俺は、考えた。