「愛歌、怖いんだろ? 手貸してやるから」

康太は、そう言って手を私に差し伸べてくれた。

「ありがと」

私は、その手を握り締めた。

でも、やっぱり怖くて進むのが怖い……

康太は、足が速い。

もうちょっとゆっくり歩いてくれればいいのに……

「康太、もうちょっとゆっくり歩こうよ」

私は、言った。

「速く歩いた方が出口に着くだろ?」

康太が言った。

もしかして私のために?

「うん、そうだね」

私は、速く歩いた。

「おっ、出口だぞ」

「ヤッタ」

やっと出口に着いた。

お化け屋敷の前で詩織と光輝君が居た。

「愛歌、康太君聞いてよ。光輝ったら男なのになかなか着いて来なかったんだよ」

詩織が言った。

「怖かったからだよ」

光輝君が言った。

「みっともない。愛歌と康太君は、どうだった?」

詩織が聞いて来た。

「いやこっちも愛歌が怖がって……」

康太が言った。

「やっぱりね。で、次どこに行く?」

「私、あのぬいぐるみ欲しい」

私は、向こうのウサギのぬいぐるみの方を指した。