愛歌の事、忘れるなら川島と付き合ったら……」

「うん、いいよ」

俺は、そのチョコを受け取って言った。

「本当? 嬉しい。今日、一緒に帰れる?」

「おう」

「康太、お前……」

和樹が何か言いたそうな顔でこっちを見て来た。

「いいんだよ。じゃあーな」

俺は、そう言って川島と帰った。

「ねぇ、ケータイ番号教えてくれる?」

俺は、ずっと愛歌の事を考えてた。

「小野君?」

「ああ、ごめん。はい」

「康太って呼んでいい?」

「ああ」

「じゃあ、私の事は文香でいいよ」

「ああ」

正直言って俺の事を康太と呼ぶのは、愛歌だけだった。

だからちょっと複雑だった。

家から帰ってべっとに転んで考え事をする。

これから愛歌とどう顔会わせればいいんだろう?

普通にすればいいよな。

愛歌が川島と付き合ってるって聞いても何も思わないよな。

これでよかったんだよな。

俺は、必死に愛歌の事を忘れようとした。