「どーします? 昼休み終わりますよ」
がさっとまた袋の中でかりんとうが跳ねる。
どうしようかな。くれるって言うなら、欲しい。
「じゃあ……ほんとにもらっていいの?」
「いいっすよ」
ずいっと差し出されたかりんとうを前にためらいが残ったままではあったけど、しっかりと袋を掴んだ。
「ありがとう」
「どういたしまして」
「……」
うん。なぜ袋から手を離さないのかな?
実は食べたくてしょうがないとか? 金よこせ的な?
じっと見上げてくる彼に疑問符を浮かべながらも笑みをたたえていれば、やがて彼から口を開いた。
「先輩って1年のあいだでも超有名で、遠目だと何がそんなに可愛いのか分からなかったんすよ。ちっちぇーなぁってくらいで」
ちょいちょい失礼だな。
高2女子の平均身長より5センチ低いだけなのに。
「でも実際こんな間近で見たら噂以上っつーか。見た目のレベル鬼たけぇーって興奮したっすわ」
あなたの言う興奮が主に下半身にいかないことを願うばかりなんですが。
どう返そうかと考えているあいだに、気付けば彼は持ち前の三白眼を爛々と輝かせていた。
「先輩マジでエロ可愛いっす」
「……」
よし、全力で逃げよう。