「1年が2階で喧嘩してるって聞いて来てみれば……っ今は清掃時間だべ!? 問題起こすなってなんべん言えば分かんだっこの、ほでなすが!」

「あーハイハイ。顔合わせて早々ごしゃぐなや」


ろくでなしと言われ眉を寄せたバクに怒鳴ったゴーレムは、「蕪早ぁ!」と気だるそうにしていた蕪早虎鉄も呼び寄せた。


あれ? えっ!? 行っちゃうの!?


てっきりこの場で事情を聞かれるのかと思ったら、蕪早虎鉄とバクはゴーレムに連れて行かれるみたいだった。


そんなの困る。これじゃあ、あの1年がどんな手を使って私に全ての責任を押し付けるか分かんないじゃん!


窓ガラスを割っておいて、お咎め無しなんて考えられない。このままじゃ、なかなかの優等生で処罰と無縁の私が……っ!


わずかに見向いた蕪早虎鉄と目が合ったかと思えば、微笑まれたように見えた。


それが事実であろうと気のせいであろうと、全身が粟立ったのは確かに悪い予感がしたから。


……ないない。そんなまさか。落ちつけ私。


さすがに予知能力なんて持っていないけど、私には今まで培ってきた信頼と実績がある。


高遠楓鹿は可愛いだけじゃないっていう信頼と実績がある。


そんな私とヤンキーの言い分、どちらが聞き入れられるかなんて爆睡してても分かる。



だけど現実は時にいたずらで――。


なんてメルヘンチックなことを思わないとやっていられないほど、次の日の私は今月最大の衝撃を越える大ショックを受けた。