「で、俺らこのままじゃボッコボコにされちゃうんで、助けてくださいっていうご相談に来たんすわ」


……言ってもいい? 知るか。


もうひとつ言ってもいい? ボッコボコにされてしまえ。


「お断りします」


にこりと笑顔を浮かべる。バクは「えーっ!」と快諾してもらえると信じていたような驚愕っぷりを見せた。


「なんでっすか! 俺らがボコボコにされてもいいっていうんすか! バンビ先輩ともあろう人が!」


あああああ面倒くさい。ほんっっとーに面倒!


「トラもなんとか言えよっ」

「……たかが菓子でボコられたくはねぇな」

「ほらー! トラも言ってることですし、簡単なことっすよ! バンビ先輩が連絡先を教えてくれれば、俺ら助かるんで!」

「分かった」

「え? マジ?」と、バクが驚きながらも笑ったのを尻目に自分の席へ向かう。


助ける気なんか毛頭ない。どうせ嘘だろうし、言いがかりでもつけて連絡先をゲットしようって魂胆が丸見えだし。


さっさと教えてしまえば済む話だ。


ただし一度でも連絡をしてきたら即拒否設定にしてやる。


鞄の外ポケットから携帯を取り出し、マイプロフィールを開けば自然と溜め息が漏れた。



「すんません」

「ひいっ!!」