部屋の電気を消して、携帯の明かり頼りにベッドに歩み寄る。
携帯を充電器に繋ぎ、枕元へ。
布団に潜り込んだ私は、音楽が聞こえぬよう強く強く目を閉じた。
意識を早く手放してしまいたくて、頭の中で「羊が1匹、羊が2匹」とふわふわとした白い毛の羊を想像していた。
と。
オカシなことに、無意識なのか、18頭目の羊の毛が色付いて見せた。
最初は燃えるような赤。次は目も眩むような眩しい黄色、緑、紫、桃色と。色とりどりにその毛を染める18頭目の羊。
が、その色がくすみ始めたのだ。どす黒い、鮮やかさに、そう、黒が足されたようなそんな色へと変わっていく。
又しても、18色目。色はダークブルーから闇でも写したような黒へと変わった。
深海、深夜のように。
その深さと暗さを知ってしまえば、もう二度と逃げ出せないほどに深く。逃げることさえ馬鹿馬鹿しく感じてしまうほどに、深く。
「こんばんは、お嬢さん。」
ひらり、視界の中で黒が揺れた。