「・・・みゃーぉ。」
あたしが玄関の扉を開け、下を見ると近所に居座りついている野良猫がいた。
「ピータ・・。」
あたしは野良猫に向かって呟いた。
そう、コイツの名前だ。
っていってもあたしが勝手に呼んでるだけなんだけどね、
なんでピータかっていうと、
ピータを見つけたとき、ごみ置き場のピーターパンの絵本の上に乗って座っていたから。
なんとも生意気そうな目の釣りあがった顔だ。
一切れパンをあげたらこうして毎朝来るようになってしまったのだ。
「ほら、ピータ。パン、あーんどミルク。」
あたしはピータの前にパンとミルクを差し出し、頭を撫でる。
そして、お母さんに行ってきます、と言って学校へと向かった。
「佳奈ー!おっはよん♪」
教室へ着くと真っ先に心友の花夏があたしに飛びついて言った。
「おはよー♪」
あたしはとりあえず笑って返事をする。
「んんん?なんかあった?笑顔がぎこちないぞーっ!」
花夏はすごく可愛くて気が利いてとってもいい子だ。
だからか、あたしは花夏になんでも話せるんだ。
「陸、彼女出来たんだって、」
あたしは泣きそうな顔を見られないように俯きながら自分の席に着く。