「なっ!ばっ・・違ぇよ!ただの幼馴染だよ・・」
陸は後輩に向かって即座に否定した。
「・・そんな必死に否定しなくたって・・」
あたしの呟きが聞こえたのだろうか、陸が小さな声でごめん。と言った。
「まぁー。二人が付き合ってるわけないですよね。
田川先輩、可愛いー彼女居ますもんねー♪」
女の子達が、きゃーっと騒ぐ。
「・・ぇ?彼女・・居たの・・?」
あたしが聞くと陸はため息をついて言った。
「ん・・まぁ・・うん・・。」
「そう・・じゃぁ、あたし帰るね、今日優輝、早く帰ってくるから。
夕飯作らなきゃ。」
優輝は私の弟。
早く帰ってくるなんて、もちろん嘘に決まってる。
塾で帰ってくるのは9時過ぎだもん。
「え、ちょ、今日塾って言ってなかったか?優輝。」
そういって去ろうとするあたしの腕をつかむ。
あたしはその腕を解いて、じゃあね。と言って走り出した。