ない。

ないない。

ないないない。


「校門どこ…?」


桜の咲き乱れる通学路でへとへとになりながら小走りする。


「わっ!」


左腕の腕時計を見て絶句した。

どうしよう、どうしよう!
入学式遅刻しちゃうよ!


「そうだ、近道しよう…!」


私のすぐそばにあるのは今日入学する学校の、高さ2メートルほどの塀だ。