「・・ねぇ、なんで・・なんで私を置いて行ったの・・?」


「っ、」


「・・・ねぇ、なんで・・私は逢斗くんが大好きだったのに・・っ」


「・・俺だって、好きだったよ・・。」


彼は俯いたまま、言う。


「・・じゃあっ、なんで・・っ!」


「・・・・あの時は、ああするしかなかったんだよ・・。」


「・・え?・・・」






そして、彼はあのときの事を話し始めた―。




彼の家は、当時かなり荒れていた。


あの時。


彼が五年生の頃。


親が離婚したんだという、




「引っ越すって言われたんだ。」