「大丈夫?」



その言葉と共に、あたしを濡らしていた雨が止まる。



そして、声がしたほうを見上げると、一人の男の子が立っていた。



「・・・・なんで、傘ささないの。」



「・・・・。」



「・・・・なんか、嫌なことあったの?」



「・・・・。」



私が、彼の質問に無言でいると、



彼は、はぁ・・。とため息をついてあたしをコンビニの方へ移動させた。



「・・・・なんか、食べる?」



「・・・・。」



「・・・・なんか、答えて欲しいんだけど、」



「・・・・。」



「・・・・家、どこ?」



「・・・・ぃ、・・ゃ。」



「え?」



「・・ぃゃ・。」



「なんだ、喋れるじゃん。・・・帰りたく、ないの?」



彼のその言葉に、私はこくんとうなずく。



「・・そ、」



彼は一言、そういうと私の手を取って歩き出した。



「・・・ぇ、ちょっ・・・と・・。」



私の小さな一言に、彼は振り返ると、意地悪そうな顔で、言った。



「帰りたくないんだろ?」


こくん。私はうなずく。



「だったら黙ってついてこいよ、」



そういって小さくはにかんだ彼を、



不覚にも格好良い、と思った自分は馬鹿だろうか・・・。