お洒落なアンティーク家具が並ぶ一室。
そこに彼はいた。
カラン♪っと、ドアの鈴が鳴った。
「あぁ…客か。」
ドアの方を見て、そう彼は呟く。
「ククッ…今回の依頼人様は、どんな奴かな?」
彼はそう言いながら、立ち上がり、紅茶を入れだした。
ふわりと香る、アールグレイの香り。
「ようこそ。僕は、何でも屋、三条 水樹です。お客様のお名前をお聞きしてよろしいでしょうか?」
先ほどの彼、水樹とは思えない。
一人称もかわっている。
柔らかい、好青年だ。
「……。星野 優理花。」
彼女、優理花は、水樹の顔をしばらく見た後、呟く。25,6くいらのOLだろうか。
「…信じられない?僕みたいな、人が‘何でも’する、何でも屋なんて。」
水樹は、クスクス笑う。
それに対し、優理花の方は、戸惑いの顔色が見えている。
それはそうだろう。
三条 水樹という男は、日本人離れした、美しい容姿なのだから。
綺麗な光輝く銀髪に、吸い込まれそうな、切れ長のブルーの瞳。
長く伸びるまつげに、高い鼻。
薄い唇。
そして、細身だか筋肉のある体に、175~180前半くらいの長身に、長い手足。
10代後半~20代前半くらいだろうか。
街中を歩いたら、皆振り向くだろう。
「…すみません…。」
優理花は呟く。
「気にしないでください。いつもの事です。それでは、優理花さん。…依頼とは?」
「ぁ……お…を」
小声の為、水樹には届かない。
「はい?」
水樹が聞き返すと、優理花は、“バッ”と勢い良く顔を上げて叫ぶ。
「私のっ…私の彼を奪った、谷口 梨花を…痛い目に合わせてっ!」
それを聞いて、水樹は頬を上げる。
「痛い目…とは?」
「彼とその女を別れさせてっ。」
それを聞いて、水樹は問う。
「彼のお名前と、理由をお聞きしても?」
「み…宮城 悠希…。」
そして、しばらく沈黙が続くが、水樹は薄く微笑みながら、優理花を見ている。
「私ね、彼と高校のとき…もうかれこれ5年以上付き合っていたわ…」