雄太は今頃浮気中?



あなたの彼女は告られてますよ~…。



何て心の中でボヤキながら屋上のフェンスによじ登った。



何か空に近づきたくなっただけ…。



上まで登ると、トゲトゲした針金が巻き付けてあって、それ以上先には進めなかった。



フェンスにしがみついたまま、あたしの生まれ育った街を眺めてた。



「死ぬの?」

「きゃっ!!」



急に下から声がして、ビックリして落ちそうになった…。



そこにいたのは…。



紺色のスーツに、青いネクタイ。



髪は少し茶色で襟足が少し長い。



制服を着てないところから、先生だと思われるけど…。



見たことがナイ人がいた…。



澄んだ瞳は真っ黒で、子犬みたいにカワイイ顔…。



「死ぬの?」



顔に似合わず片手にタバコを持ったその人はまたあたしに問いかけた…。