「あれ?」



急に止まる井上のピアノ。



俺は振り向いて井上を見た。



「忘れちゃったかな…。」

「マジ??今からいいとこなのに!?」

「じゃあ続きは先生が弾いて♪」

「任せろ♪」



井上が忘れた続きを俺が弾いた。



井上は俺のピアノを目を瞑って聴いてた。



ヤバイ…。



「先生ってピアノ上手だね♪」



俺に笑いかけないでくれ。



「井上だってうまいじゃん。」

「先生のピアノ、好きかも♪」



好きになっちまう…。



「ははは♪俺も好きだよ。井上のピアノ。」

「恥ずかしいから!!それに社交辞令はいりません♪」

「イヤ、マジだ♪じゃあ俺は仕事があるので。さらば。」



そう言って井上から逃げた。



準備室に入って考える。



非常にヤバイ。



生徒は好きになっちゃいけない。



叶わぬ恋はしたくない…。