曲も中盤にさしかかった時、音楽室のドアが勢いよく開いた。



「やっぱり…。」



ピアノを弾いたまま振り返ると、息を切らせてあたしを見つめる愛しい人…。



パーマかけたんだ…。



更にかわいくなってる。



先生はゆっくりと歩いてきて、あたしに背を向けてピアノに寄りかかった。



背中は変わってない…。



「忘れちゃった…。」

「は!?今からいいとこなのに!?」

「うん…。先生が続き弾いて?」

「任せろ♪」



あたしの代わりにピアノを弾く先生。



前と同じ音…。



指も、目も…。



何も変わってない。



「終わり♪」

「さすが先生♪」

「今はお前のがうまいだろ?」

「まぁね♪」



ピアノ越しに久しぶりの会話…。



「メシ食うから…。もう1曲弾いて?」

「高いよ?」

「はははっ♪」



先生は準備室に戻ってサンドウィッチを持ってきた。