【未来】



先生が帰った後に、涙か止まらないあたしを、沙羅さんがタケさんの車まで連れてきてくれた。



沙羅さんは細いきれいな指でタバコを吸ってる。



「落ち着いた?」

「はい…。」

「困ったねぇ…。」



白い煙と一緒に吐き出すため息混じりの言葉…。



あたしはただ俯いてるだけで…。



「まだ好きなんでしょ?」



沙羅さんの言葉に頷く。



沙羅さんはまたあたしの頭を撫でてくれた。



「あたしもどうしたらいいのか…。あんな新見たことないから…。」

「はい…。」

「苦しいんだね…。きっと…。未来ちゃんと同じくらい。」



わかってるよ…。



先生のさっきの顔が、前と変わらずにあたしを見つめてくれた目を見ればわかる…。



まだ好きでいてくれてるって事が。