「あぁ…。マジ無理…。」



そう言って先生はあたしの隣から立ち上がった。



「なぁ未来…。」



先生はあたしから離れてピアノによりかかってる…。



背中が泣いてる…。



「弾いて?」

「リ…クエス…トは?」

「ノクターン…。」



先生とあたしの好きな…。



「やだ。」



あたしと先生を結んでくれた曲が、最後の曲なんて…。



そんなの悲しすぎる。



あたしは先生の意見を無視して、別れの曲を弾いた。



「先生…。」

「何だ未来…。」



先生はあたしに背を向けたまま…。



「最後のワガママ。キスして?」

「……おいで…。」



あたしは先生の所までゆっくり歩いた。



先生の目は赤くて、涙を堪えてた。



先生は優しく頭を撫でてから、悲しい悲しいキスをしてくれた。



「バイバイ先生…。」

「じゃあな井上…。」



こうしてあたし達の同じ時間は終わりを告げた。