「ちょっ、マジやめろって!
てか、引っ張りすぎ!!」


急いで振り払う俺を見た清水は、プッと噴き出して。



「キモい。」


そう一言投げつけ、勝手に歩き出して。


“ハァ?!”と言いながら、焦ってその後ろを追いかけた。



「あたし、絶対呪われてんの!」


突然俺にそう向けた清水は頬を膨らませて。


とてもじゃないが、意味がわからない。


しかしそれならそれで、大変なことなのだろう。



「…セナちゃん?」


「うるさい!
アンタだってホントは信者のくせに!」



俺はどこかの教団に入った覚えはないし、

何故清水がこんなにも怒っているのかわかんなくて。


てゆーか、女王様の涙はどこへやら。



「…もぉ、わけわかんねぇじゃん。
てか、だったらお祓い行く?」


「馬鹿!
魔女の呪いが神社仏閣で祓えるわけないでしょ?!」



何だかなぁ、と。


頭をかき俺は、ため息を混じらせた。



「セナ、ストップ。」


「何よ―――!」


その瞬間、清水を引き寄せそのまま唇を合わせて。


“馬鹿”とか言われたくねぇし。


怒られるのかと思ったけど、予想外に清水は無抵抗で。


ちょっと嬉しかった俺は、やっぱり彼女が言うように馬鹿なのだろう。