「停学でも退学でも、好きにしろよ!」


あれからすぐに悲鳴を聞いたのであろう他の先生達も駆け付け、

暴れる白石を無理やりに職員室まで連れて来たのだが。


取り囲む教師連中に白石は、その言葉以外は何も語ろうとはしない。



「白石、ちょっと来い!」


「ハァ?!
命令してんじゃねぇよ、クソが!」


そう言う白石を無理やりに引きずり俺は、隣の生徒指導室に連れ込んだ。


瞬間、ガシャーンと長机を蹴り飛ばす音が響いて。



「岡部先生?!」


「大丈夫ですので、少し二人で話をさせてください。」


血相変えた教師連中にそれだけ告げ、笑顔で俺は、その扉を閉めた。


一瞬のうちに、生徒指導室までもが無惨な姿に変わってしまって。


長いため息を吐きだした。



「…あのさぁ、白石。
別に俺は、暴れたことについて怒ろうとかって気もないんだよ。」


「―――ッ!」


予想に反したのだろう白石は、目を見開いてゆっくりと俺に顔を向けた。


フッと笑い俺は、倒された長机を戻してそれに腰を降ろす。



「ただ、何があったのか話してくれなきゃ、お前が悪者のまま学校辞めさせられるぞ?」


「―――ッ!」


戸惑うように白石は俺から目線を外し、傍にあったパイプ椅子に腰を降ろした。


少し薄暗くなった部屋に、沈黙のとばりが降りる。


うな垂れた金髪頭は、いつもより幾分小さく見えて。


人間誰しも、暴れたい時期くらいあるのはわかってるし。


俺だって経験してないわけじゃないから、その気持ちは少しくらいわかる。


何よりコイツが今学校を辞めてしまったら、清水まであとに続いてしまう。


それだけは、何としても止めなきゃいけないから。


何も言わず俺は、白石の言葉を待ち続けた。