『君、名前は?』
まるでナンパでもするようにそう尋ねる俺。
『海羅だよ。あなたは?』
『瑠衣。ちなみに今日で14歳』
初対面の壁なんてないくらい馴れ馴れしい会話だった。
『ねぇ瑠衣、あたしのこと怪しく思わないの?』
『は?別に、けどどうして?』
それは俺に、俺と海羅の“再会”の日を思い出させた。
――『ねぇ、あたしのこと警戒してないの?』
あの日と一緒だ。
けど訊いた理由はきっと違う。
2回目は自分のことを覚えているか確認するために訊いたんだ。
『じゃあ、瑠衣だけにあたしの秘密を教えてあげる』
少し切なげな表情をして彼女は言った。