その場で頭を抱え、強く目を閉じた。
いつもの頭痛と一緒だ。
俺が6年前のことを思い出すのをいつも妨げる痛み。
「ぅっ……」
ビリビリと、まるで古いビデオを再生してるような感覚。
「いっ、たい……」
「瑠衣、耐えて!」
彼女の声が響いたとき、一瞬ズキッと最高潮の痛みが俺を襲った。
それから急に、頭の中にひとつの映像が流れ始めた。
痛みはなく、ただ少しぴりぴりする程度。
そしてそこは――
「……海?」
今まさに俺たちがいる海だ。
波が荒れていて、天気も曇り空。
これは一体……
そう思った時だった。
『ねぇ、大丈夫?』