梢が去った後、俺たちは岩陰でじっと海を見ていた。
夕方になり、辺りが赤みを帯びていく。
とにかく黙ったまま並んで、まるで幸せなひとときだ。
「話さなきゃいけないことがあるの」
急に口を開いたのは海羅だった。
隣を見ると、その頬は涙で濡れていた。
「話さなくてもどうせその時はすぐに来るんだけどね」
「どうしたの?」
「今から瑠衣は6年前のことを思い出すから」
―――えっ?
思わず目を見開いた。
「何言ってんの」
「目閉じて。ちょっと痛いけど、我慢してね」
「訳分かんね――」
大声を出そうとした時、急に激痛が頭を襲った。