「あたしの中ではこれがベストかな」
差し出された一枚を見ると、それは俺たちが心から笑ってる様子だった。
「もしよかったら、海羅ちゃんにあげるわよ」
「えっ、いいんですか?」
「うん。思い出にどうぞ」
海羅は写真を受け取り、愛しいものを見るような目で写真を見ていた。
「ありがとうございます……」
感動したのか、彼女はとても嬉しそうだ。
「じゃああたしは帰るから、またね」
手を振って歩き出す梢。
「梢!」
俺は彼女を呼び止めた。
そして――
「ありがとな。お前は最高の幼なじみだよ」
心からの感謝を伝えた。
梢は振り向かずに、その場に立っている。
「ふふ、いいのよ。幸せになるのよ」
それだけ言って梢はまた歩き出した。
彼女の声が震えてた気がする。
理由は分からないけど、きっと泣いてたんだろうな。