「あんたにどうしてもお願いがあるんだけど」


いつになく下からだな。
これはただ事じゃなさそうだ。


「どうした?」

「実はね、あんたと彼女の写真が欲しいの」

「はぁ?」


彼女って、海羅のことだよな。


「なんでいきなり?」

「夏の写真のコンクールにでも使わせてもらいたくて」

「なっ、どういう意味だよ!?」


確かに、梢が大学で写真同好会に入ってるのは知ってるけど……


コンクールに出すのが俺たちの写真ってのはどう考えてもおかしいだろ。


「お願い!今回の課題が“渚のカップル”でぴったりだと思って。それに、彼女側には許可を得てるから」

「おまえ、いつ海羅に会ったんだよ!」

「たったさっき。彼女、快く頷いてくれたわよ」


そうとは言っても……


意外だな。海羅がオッケーするなんて。


「海羅を脅したりしてないだろうな?」

「当たり前でしょ?たぶんもう浜辺にいると思うから、早く行くわよ!」