「――瑠衣」


突然後ろから抱きしめられ、彼女の香りがふわっと漂った。


「あたしは…どうしようもないくらいあなたが大好きなの」

「えっ……」

「それだけだから。じゃあね」


身体が離れ、彼女は走っていってしまった。


彼女の残り香を感じながら、走るその後ろ姿を見えなくなるまで見つめていた。



「海羅……」


君の気持ちが読めたら、どんなに便利だろう。


それぐらい海羅は

自分の感情をごまかすのが上手だったんだ―――