『夕島さん!!』
真流は廊下を全速力で走りながら教室に戻ろうと歩いていた夕島へ叫んだ
夕島「!!」
夕島は気づいた途端に、下を向いて逃げる様に走り出した
『ぇ、ちょ、逃げないでよー!!』
真流も慌てて後を追いかける
夕島は追いかけて来る真流を見ると、焦るようにトイレに逃げ込んだ
――ガチャン
『待ってよ!!』
個室に逃げ込み鍵をかけた夕島に、真流は呼び掛けた
『……夕島さん、あの』
夕島「もう授業始まってるわよ、早く行ったら?」
しかし、夕島は呼び掛けを遮り、冷たく言い捨てた
『……噂、聞いたよ』
夕島「……だからなに?」
真流は女B の言った事を思い返した…―――――
夕島と友達は中学一年から仲がよかった
最初に話し掛けたのは友達の方で
「友達にならない?」
そう笑顔で言われたそうだ
その日から二人は仲良くなり、やがて親友となった
そんなある日、その友達に好きな男の子が出来た
夕島はよく相談に乗り、協力もしていた
だが、
「好きだ」
その男の子がそう言ったのは、友達にではなく、
夕島に言ったのだった
その告白を誰かに見られていたらしく、その噂は広まってしまった
“夕島とその男の子は付き合っている”
と…――。
実際、夕島は男の子の告白は断っていたが尾ひれが着いた噂に友達は裏切られたと判断してしまった
そうして、事件が起こった…――――。