『プルルルルルル…』


突然、私の家の電話が鳴った

私はゆっくり音の鳴る方へ行った


「もしもし?」


「もしもし?麻美?」


聞き覚えのある声―

同じ職場の優だった


「・・・優?」

 
「そぉ!携帯に電話しても一向に電源入らないし…

 心配したよぉ~。

 で、大丈夫なの?!」


ずいぶん忘れていた携帯の存在…

私は懐かしさのあまり泣き出してしまった


「うわ~ん。。。

 ありがと~う…。」


「泣くなってぇ~!!

 職場には倒れたって情報しか入ってこないし

 麻美のお母さんからも『ちょっと休みます。』

 って一報が職場に入ってきたきり

 連絡なかったみたいよぉ~。

 誰も麻美の行方を知らないから

 お見舞いも行けなかったじゃん!!

 で、職場復帰はいつ?」


「・・・・。」


私は黙り込んだ

唾を飲み込み優には話す覚悟をした


「驚かないで聞いてね。

 実は私…

 視力失っちゃったの…

 もう、職場には戻れないと思う。。。

 仕事のことすっかり忘れてたぁ

 部長に電話しなくちゃね。」