「はい…。

 部長もお体に気をつけて…。」


私は自分の荷物が入った袋を受け取り、部屋を後にした


私の荷物の中には

営業先についての一言メモや

営業部で培ってきたことが凝縮されたノートが沢山入っていた


袋の中は紙とインクの匂いが漂っていた

この匂い…もう嗅ぐこともないのかなと思うと

切なかった


開いても読めない文字…

読めても活用できない内容…

私にとっては辛いノートでしかなかった



エレベーターが開き乗ろうとした時


「麻美!」


聞きなれた声―