「もう…

 この子ったら!!
  
 すみません…。」


唯ちゃんの母親らしき人が駆けつけ

唯ちゃんを抱きかかえて行った


「ママ、何でダメなのぉ?」


唯ちゃんは幼いなりに

質問をしていた様で

遠くで2人の会話が聞こえていた


「あのおねぇちゃんは目が見えないの!

 見えないのに知らない子が

 声かけて来たら困るでしょ!

 可哀想なんだからね!」


かすかに聞こえた同情の声…

鋭くなった聴覚が憎かった

本当は唯ちゃんの母親の元へ駆けつけ

勝手に困るとか決め付けないで!

可哀想って思わないで!

そう怒鳴ってやりたかったが

私にはそんな勇気はなかった…