は…?泣いてる…?




私が…?




男は私の隣でしゃがみこみ、私の顔に手を触れ、指で何か拭った。



それは、まぎれもない私の涙だった。



「泣いてる奴なんか放っておけるわけねぇだろ。」



男は私の目を見つめながら言った。





「…っ、あなたには、関係ないことじゃんっ…」


私はその男の目をそらした。



あまりにまっすぐでキレイなその目を、私は見続けることなんかできなかった。




「泣いてる奴が強がり言ってんじゃねえよ。

…、ほら、立てるか…?」



男が手を差し伸べてきた。



「…。」


私は無視した。



そんな私の態度を見てあきれたように、その男は勝手に私の手を取った。


「ちょっ…」


戸惑う私に気にもせず、男は優しく私の体を引き上げた。


「ほら、立てた。」


男はニカッと笑った。