「……………」 長い沈黙だった気がする。 じわじわと手に汗がにじんで、こわくてこわくて目をつむった。 「……いいよ」 「えっ…」 咄嗟に手で口を押さえた。 「えっ、て何…」 「ご、ごめん…」 扉の向こうのくぐもった声は呆れていて、ちょっと萎れた。 「…はやく入りなよ」 「あ、うん、ごめん」 ドアノブに手をかけると、重い気がしていたそれは思ったより軽かった。