ぴんぽーん、と軽い音のあと、玄関の扉が開く。



「いらっしゃい、雪子ちゃん?」



「こ…こんにちは…」




出迎えてくれたのは彼のお母さんで、とてもきれいな人だった。


目をみると、確かに彼と似ていて親子なんだとわかる。





「わざわざありがとう、ここまで来てくれて」



「いえ、あの、これ、保護者のプリント…」




言い訳に持ってきたプリントを差し出すと、彼のお母さんは礼を言って受け取り、彼の部屋まで案内をしてくれた。


マンションの中は広く、明るい色の家具が少しおいてあって全体的にすっきりとしていた。




人の家が珍しくてついキョロキョロとしていると、彼のお母さんはひとつの部屋の前で立ち止まった。



「ここが陽平の部屋ね。

あとでお菓子もっていってあげるから、ゆっくりしていってねぇ」


それだけ言い残して彼のお母さんは去ってしまった。



こんこん、こん。




おかしなリズムの取り方でノックする。


「だれ?」


「き、如月…同じクラスの…」