「まぁ…雪子は絵が下手やもんなぁ」 「ちょっ…ひっど!」 「ピカソもびっくりやしなー」 「なによそれーっ!」 「前衛的やって、褒めとるよ」 褒められてる気がしないんだけど、と思いつつもこんな会話が楽しくてしかたない。 彼はいまだに集団のなかで馴染めずにいるけれど、それは逆に私とだけこんな風に話してくれるということ。 そのことに私は嬉しくなっていた。 「陽ちゃん」 「ん、なに?」