手のひらが温かい。 わたしは彼と出会った頃のことを思い出していた。 手は彼と繋がれていて、お互いに緊張しているのか、少しだけ汗ばんでいる。 「…ごめん」 「…え…?」 夕陽のなかを、ゆっくりと歩く。 横を、自転車に二人乗りした高校生が通りすぎた。 「…ごめん、」 前を歩く彼の背中が、震えるように見えた気がする。