近くでみても綺麗なものは綺麗だった。





「こんな絵、わたしはじめて見た…」



「…ん」




そのまま静かに絵をみつめる。



彼の部屋の窓から、日の光が差し込んできて、あたたかい。


眠りたくなるような雰囲気だった。





「…越野くん」



「……ん?」



「………あの、ね。



また…きてもいいかな」





こんどは、何もなくても。


ただおしゃべりしにくるだけでも。




「…もちろんええよ。きたらええ……待っとる」






そのときの彼の声が夢のようで、わたしははじめて彼に「陽平くん」と呼んだ。