それから。





彼は時々わたしと話すようになった。




学校もちゃんと来るようになったし、図工の授業も受けている。




「如月」



「ん?なに、越野くん」



「今日…描くから」



「え…あ、うん!」




短い会話で彼は教室の自分の席へ戻った。



あれは「今日描くから来る?」という意味だ。


実は照れ屋だと最近知ったから、あれが多分彼のお誘いの限界らしい。





「ゆきこー」



「ん?」



なんとなく可愛くて笑うと、後ろから友達の声が聞こえた。




「なんか最近越野くんと仲よくない?」


「えっ?」


「よく2人で話してるし」


「雪子って越野くん好きなのー?」



思わぬ方向に話がいき、あわてて否定した。