あと、こっそり『トクベツ』が嬉しかったのはわたしだけの秘密だ。
「それじゃあ、おじゃましました」
玄関先で彼のお母さんに向かって頭を下げると、「また来てね」と笑顔で手を振ってくれた。
「…送ってくる」
「えっ…」
出ていこうとした矢先、送ると言われ断る間もなく、わたしは彼と帰ることになった。
「……………」
「……………」
話すこともなく、ただただ夕暮れの道をならんで歩いた。
「………あのさ」
先に切り出したのは彼だった。
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