「涼~」
と書かれたメールが届いた。
アタシは家に帰ってから返事を
返そうと思いケータイをカバンに入れた。
祐がアタシを名前で呼んでくれた
ことが嬉しかった。


アタシは祐を見つめていた。
祐はアタシのほっぺに触れ

「なかなかやらかいやん」

と言った。
アタシは祐に初めて触れられた。



「ほな帰ろかぁ
ギリギリなったなぁ
悪い…」

アタシ
「ギリギリって何ですかぁ?」


「もう22時半やろ~
おこちゃまははよ店出れやぁ」

アタシ
「祐さんもおこちゃまです~」


「私涼と違ってお酒飲めますけど~」

祐はいつもアタシをおちょくってくる。
でもアタシは嫌ではなかった。
なによりも祐がスキだから。


祐と一緒に店を出てアタシは自転車。
自転車の鍵を開け帰ろうとした。
でも祐はアタシの自転車の横にいて
帰ろうとはしない。

アタシ
「祐さん帰らないんですかぁ?」


「おぅ。オレまだ従業員ルームで
仕事するからよ~まだ帰れやんわぁ」

アタシ
「そーなんですかぁ
頑張ってくださいねぇ。
お疲れ様でぇす。」


「さんきゅ~なっ。
お疲れちゃんょ~
家着いたらメールくれよっ」

そう言いながら祐はアタシの頭をくしゃっとした。
祐はアタシが見えなくなるまで
ずっと見ていてくれた。


アタシは帰りながら思った。

仕事がまだあるのにわざわざ
見送ってくれたの…?
祐は普通の従業員なのに
なんでまだ仕事があるの…?
祐はアタシを見送る為に
あんなに急いで着替えてくれたの…?


アタシは家に着くまでひたすら
祐のことを考えていた。
謎が多すぎたから…。
早く祐にメールを送りたいけれど
約束通り家に着いてから送った。


アタシ
「帰宅でぇす。」